これまで定期の生命保険は、保険料が割安で一時的な期間、例えば子どもが独り立ちするまでの10年ほどの期間の死亡保障を高くしたいときにとても便利だという話をしました。また歳満了といって、例えば90歳満了を選べば(販売されている商品の中に実際にあります)90歳までではあるけれども死亡保障が安い保険料でつけられる、という事も伝えたと思います。

定期型の生命保険は手軽ですが、結局のところ人が亡くなった時に死亡保険金を受け取る保険商品ですので、相続が深く関わってくることになります。

では、実際に死亡保険金を受け取った時の相続税はどうなるのでしょうか。

死亡保険金を受け取るのは誰になるのか

ところで、実際に死亡保険金を受け取るのは誰になるのでしょうか?

被保険者が亡くなった時に死亡保険金受取人が指定されていれば、死亡保険金を受け取るのは死亡保険金受取人です。

生命保険に入るときには死亡保険金受取人を指定するのが基本ではありますが、例えば医療保険に死亡保障が付帯している商品など、死亡保障がメインでない場合には死亡保険金受取人を後から指定出来る場合があります(例えば共済など)。
もし死亡保険金受取人を指定しないまま被保険者が亡くなった場合には、死亡保険金を受け取るのは法定相続人となります。

死亡保険金受取人は、基本として2親等以内の親族で指定するよう決められています。

自分を0等親として祖母から兄弟、孫までが2親等になります。叔父や叔母は3親等です。
自分に子どもや親、兄弟姉妹がいる場合は、その中から死亡保険金受取人を指定する事になります。

また最近ですと保険会社によっては事実婚のパートナーを死亡保険金受取人に申し込む事も可能になりました。ただし同居年数や戸籍上の配偶者がいない事など状況を保険会社で確認し、可否を決めることになります。

一方、2親等の親族がいない場合も叔父や叔母、また生計が同一となる他人を死亡保険金受取人として申し込む事が可能です。ただし事実婚と同様、状況を保険会社で確認をし、可能かどうかを決めることになります。

一方、死亡保険金受取人を指定していなかった場合は、法定相続人が死亡保険金を受け取ることになります。

法定相続人は、まず配偶者は相続人として必ず指定され、他に第一順位に子ども、第二順位に親、第三順位に兄弟姉妹があります。第一順位がいなければ第二順位、第二順位がいなければ第三順位という様に、配偶者以外の相続人は順位に従って相続人となります。

このように、死亡保険金を受け取る人が決まります。

死亡保険金にかかる税金は必ずしも相続税ではない

ところで、被保険者が亡くなったからといって必ず相続税が発生するというわけではありません。実は死亡保険金にかかる税金は、実は保険料負担者と死亡保険金受取人の続柄によって種類が異なります。

例えば分かりやすい例としては、保険料負担者が夫・被保険者が妻・死亡保険金受取人が子どもの場合は、夫(存命)が支払った保険料から発生する死亡保険金が子どもに渡ることになるので、贈与税が発生します。
一方、保険料負担者が夫・被保険者が妻・死亡保険金受取人が夫の場合は、夫→夫になるので所得税となります。

ただ、所得税が発生する場合は、死亡保険金の受け取り方で所得税の中でも扱いが変わってきます。死亡保険金の受け取りは通常一括で受け取る保険商品が多いですが、一方年金扱いで分割で受け取れる保険商品もあります。
この場合、一括で受け取った場合は一時所得、年金として受け取った場合は雑所得になります。年金で受け取った場合は源泉徴収が行われます。

保険料負担者が夫・被保険者が夫・死亡保険金受取人が妻の場合は、夫→妻となるので、この場合には相続税がかかります。保険料負担者と被保険者が同一であることが必要です。

一般的には契約者と保険料負担者は同一ですが、契約者と被保険者が異なるケースは珍しくありません。
相続税と比べて所得税や特に贈与税は税金が高くなりますので、保険料負担者が誰なのかを確認し、必要であれば保険料の支払口座名義を変更しておくことをおススメします。

死亡保険金の相続税には計算式があります

さて、死亡保険金を受け取った後に支払う相続税ですが、基本として、死亡保険金単独で相続税の計算が行われるのではなく、財産分与の1つとして、その中に入れて相続税の計算が行われます。
財産分与の金額によって相続税の計算式が違いますので、残念ですが、死亡保険金の相続税が簡単に明確にわかるというものではありません。

また、死亡保険金は全額が課税対象になるわけではないので、課税対象額を計算する必要もあります。こちらの方は相続税と比べて分かりやすいので、受け取る死亡保険金のうちどのくらいが課税対象なのかを知っておく事も大切ではと思います。
死亡保険金の課税対象分の計算ですが、法定相続人全体で非課税限度額を計算したり各相続人が受け取った死亡保険金を合算したりと、こちらも実は単独で受け取った死亡保険金から簡単に導き出せるわけでもありません。

ただ、要は受け取った死亡保険金からその人に該当する非課税分を差し引くという内容です。
非課税分の計算は、法定相続人の人数で非課税限度額を計算し、その人の非課税分を法定相続人全員が受け取った死亡保険金の割合分で算出するというものです。

ですので、おおよそですが
非課税限度額が500万×法定相続人の数ですので
例えば法定相続人が3人の場合は、500万×3=1500万。
各法定相続人が受け取った死亡保険金が
A:500万 B:2000万 C:1000万だとすると
Aの非課税分は1500万×500万/500万+2000万+1000万=約214万
Bの非課税分は1500万×2000万/500万+2000万+1000万=約857万
Cの非課税分は1500万×1000万/500万+2000万+1000万=約428万
    非課税限度額     各法定相続人の死亡保険金の割合

上で計算した非課税分を、実際に受け取った死亡保険金から差し引いて課税対象分が決まります。
Aの課税対象分は500万ー約214万=約286万
Bの課税対象分は2000万ー約857万=約1143万
Cの課税対象分は1000万ー約428万=約572万 となります。

※下記は使用した計算式(2式)

非課税限度額=500万×法定相続人の数
※国税庁ホームページ

相続税の基礎控除によって相続税自体が発生しない場合が多いです

死亡保険金の課税対象額について書いていきましたが、ここで相続税の基礎控除額について書いていきます。
相続税で控除される金額が高い事を耳にする人は多いと思いますが、実際にその通りです。

計算式は以下となります。
相続税の基礎控除=3000万+(600万×法定相続人の数)

ですので上の例で当てはめると
基礎控除は3000万+(600万×3)=4800万

相続税は死亡保険金のみに限らず、亡くなった人の不動産や貯金等すべての資産に対して掛けられるものですが、もし上の例で亡くなった人が死亡保険金のみ3人の遺族に残した場合には、受け取った死亡保険金の合計だけで3500万ですので、結果として基礎控除を下回るので相続税はかからない事になります。

実際に資産が死亡保険金のみという事は少ないかと思いますが、もしそうだった場合には、法定相続人が受け取る死亡保険金の合計金額が基礎控除を上回るかどうかで、相続税が発生するかどうかが分かるという事になりますね。
ただ、資産があった場合は、単純に死亡保険金だけで相続税がかかるかどうか分かるものではありません。自分が持っている資産がどのくらいの価値があるのか、それによって相続税が発生するのかを機会があった時に考えてみるのもいいのではと思います。